皆さま、バレエ『ドン・キホーテ』のあらすじをご存じでしょうか??
『ドン・キホーテ』は、バレエ作品のなかでもかなり"コメディー色"の強い、親しみやすい人気作品です。
今回はそんなバレエ『ドン・キホーテ』のあらすじを、図も用いて、わかりやすくご紹介します。
また、ドン・キホーテ全幕に参加したことのある私から、見どころも併せてご紹介します!
目次
バレエ『ドン・キホーテ』のあらすじを簡単解説!見どころもご紹介!
バレエ『ドン・キホーテ』の原作は、スペインの作家、ミゲル・デ・セルバンデスの小説です。
バレエで演じられるのは、この小説の後編第19章から第22章の婚礼の話。
小説の主役はドン・キホーテという老騎士ですが、バレエでは若い男女のカップルが中心となり、ドン・キホーテは"名わき役"のような立ち位置です。
音楽はロシア帝国で活躍した、レオン・ミンクスが作曲しています。
はじめに、『ドン・キホーテ』の相関図をお見せします。
バレエ『ドン・キホーテ』のあらすじ
さっそく、バレエ『ドン・キホーテ』のあらすじを見ていきます♪
序章 ドン・キホーテとサンチョ・パンサの出発
とある村の老郷士ドン・キホーテは騎士道物語を読みふけった挙句、ついに気がおかしくなり、自らが騎士として遍歴の旅に出ようと思い立つ。
遍歴の騎士たるもの、追い求める姫がなくては…!そこで勝手にドルシネア姫という姫を妄想で作り上げた。
そして時代遅れの鎧兜や槍を身につけ、近くの農夫サンチョ・パンサを従者とし、見えないドルシネア姫の幻影に導かれるように出発する。
第一幕 バルセロナの広場にて。恋人たちとドン・キホーテの出会い
ポイント
- キトリとバジルは仲の良い恋人同士だが、父親に結婚を許してもらえない
- ドン・キホーテはキトリを空想の想い人であるドルシネア姫だと思い込む
- キトリとバジルは、騒ぎに紛れて駆け落ちしようとする
活気あふれるバルセロナの広場には人々が行き交い、娘たちが楽しげに踊っている。
宿屋の扉があき、主人のロレンツォがどこかへ出かけて行ったのを見届けると、娘のキトリが姿を現した。
キトリは街一番の美人であり、床屋のバジルというお似合いの恋人がいる。
しかし、父親のロレンツォは娘を金持ちのガマーシュに嫁がせたいと思っており、貧しいバジルとの結婚を認めてくれない。
広場は一層活気づき、色気たっぷりの踊り子や花形闘牛士たちのダンスでさらに盛り上がる。
一段落し、みんなで一杯やろうとした時、街に何やら近づいて来た。
それは騎士のような恰好をしたドン・キホーテと、その従者サンチョ・パンサであった。
キトリとバジルを見たドン・キホーテは、キトリを愛しのドルシネア姫と思いこみ、キトリを踊りに誘いだす。
意外とノリノリでドン・キホーテに付き合うキトリを見て、あきれるバジル。
踊りが落ち着くと、今度はパンとぶどう酒を盗み食いしたサンチョ・パンサがロレンツォに追いかけられて広場に飛び出してきた。
広場のみんなを巻き込む大鬼ごっこに、もうめちゃくちゃ。
そんな騒ぎを利用して、キトリとバジルは手に手をとって逃げ出した。
ロレンツォが結婚を許してくれないならば駆け落ちをしてしまおう!
それを見たロレンツォはガマーシュと共に二人を追いかけようとしたが、「姫に無礼を働く事は許さん。」と、ドン・キホーテが槍で二人の行く手をふさぐ。
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第二幕 ジプシーと、夢の場、そして狂言自殺
ポイント
- 駆け落ちしたキトリとバジルは、ジプシーの野営地にたどりつく
- 風車を怪物と勘違いしたドン・キホーテは、夢の中で麗しのドルシネア姫に会う
- バジルの狂言自殺が成功し、キトリとバジルは晴れて結婚を許される
第一場 ジプシーの野営地
キトリとバジルは風車小屋のあたりまで逃げて来たところで、一休みすることに。
二人は幸せいっぱいな時を過ごすが、なんとそこはジプシーたちの野営地だった!
キトリとバジルを見つけたジプシーたちは、珍しいものを見るようにじろじろと見てくる。
そこでバジルが、キトリと駆け落ちをしたことを伝えると、ジプシーたちは二人を受け入れ歓迎する。
またしばらくすると、ジプシーたちがざわざわしはじめた。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサがキトリとバジルを追って来たのであった。
相変わらずキトリをドルシネア姫だと思いこんでいる様子のドン・キホーテ。
ジプシーたちはドン・キホーテたちを歓迎して人形劇を見せてくれる事になった。
最初はご機嫌だったドン・キホーテだが、悪役の人形が出て来て様子がおかしくなる。
そこでタイミング悪く、近くにあった風車が回り始めた。
するとドン・キホーテは怪物が暴れ始めたのだと思い込み、槍をかざして風車に突進していった!
そして羽にひっかかって上がっていったと思ったら、地面にたたきつけられてしまった。
サンチョ・パンサやバジルが心配そうに駆け寄ると、ドン・キホーテは気絶してしまっていた。
第二場 ドン・キホーテの夢の中
目が覚めると、ドン・キホーテは麗しい森の中にいた。
周りにはたくさんの森の精たちがいる。
ドン・キホーテは可愛らしいキューピッドに手招きされついて行くと、そこには森の女王、そして愛しのドルシネア姫がいた。
ドン・キホーテが姫の美しい姿を見て胸がいっぱいになっていると、森の精やキューピッドの踊りが始まる。
夢のような時間を過ごすなか、ドン・キホーテが思わずドルシネア姫の手をとり、これ以上ない幸せを感じたその瞬間、ドルシネア姫たちはみんなは消えて行き、ドン・キホーテは一気に現実に引き戻されてしまう。
バジルはドン・キホーテを世話していたが、追手が迫って来る音がしたので、キトリと手をとりあって逃げ出した。
ドン・キホーテがやっと起き上がると、ロレンツォとガマーシュが追って来た。
キトリとバジルがどこに行ったのか尋ねられると、ドン・キホーテは二人のために、逃げた方と正反対の方向を教えようとする。
しかし、それに気づかないサンチョ・パンサは、本当に二人が逃げた方向を教えてしまった。
急いで二人の後を追うロレンツォとガマーシュ。
ドン・キホーテも、やらかしたサンチョ・パンサをひきずりながら、後を追う。
第三場 酒場
街の酒場では、キトリの友人たちや闘牛士、ジプシー女のメルセデスが来ており、華やいでいた。
そこへキトリとバジルが現れた。エスパーダも登場し、賑やかなダンス合戦が始まる。
すると、酒場の主人が追手がやって来た事を知らせたので、キトリとバジルはあわててみんなの影に隠れた。
さて、追って来たロレンツォとガマーシュは、キトリとバジルを探すが、人々は息を合わせてしらんぷりする。
ロレンツォが気づかない間にキトリはこっそり逃げ出そうとしたが、ついにロレンツォに見つかってしまった。
ロレンツォはキトリをとらえ、ガマーシュと無理やり手を組ませられる。
そういえば、バジルの姿が見えないが…?
そこへマントを身につけ、刃物ふりかざすバジルが現れる。
バジルは駆け寄ったキトリを突き飛ばし、「キトリと結婚できないなら、もう俺は生きていく意味がない!」と言って、勢いよく胸に刃物を突きたてた!
みんなはあまりに突然の事に、思わず目をふさぐ。
しかしバジルの方は、ゆっくりわきに挟んだ刃物を取り出すとマントをひろげ、ゆうゆうと寝っ転がって死んだふりをするではないか。
なんと、ロレンツォをだますための狂言自殺だったのだ。
みんなバジルが死んだと思って、その場は大騒ぎになったが、キトリは少ししてバジルの企みに気がついた。
そしてロレンツォに、せめて結婚の許しをください、そうでなければこの人は安らかに天国にはいけません、と訴えた。
しかしロレンツォはすぐにはうなづいてくれない。
このままではバレてしまうかと思ったその時、ドン・キホーテがサンチョ・パンサを連れて現れた。
キトリはドン・キホーテに駆け寄り、助けを求める。
キトリに頼まれたドン・キホーテは、二人の結婚を認めてやるようロレンツォを説得した。
ロレンツォはしぶっていたが、ドン・キホーテに槍を突きつけられ断れず、ついに、うん、と言ってしまう。
その途端にバジルは起きあがり、キトリと手を取り合って喜びだす。
ロレンツォは慌てたが、すでにその場は二人を祝福するお祭り騒ぎ。
娘を金持ちに嫁がせる夢は消えてしまったのだった。
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第三幕 キトリとバジルの結婚式
ポイント
- キトリとバジルの結婚式が盛大に開かれる
- ドン・キホーテとサンチョ・パンサは新たな旅に出発する
キトリとバジルの結婚式が賑やかに開かれる事になった。
招待客たちが華やかに入場してくる。
ドン・キホーテとサンチョも来賓として席に着き、ロレンツォの合図でお祝いの踊りが始まる。
結婚式が終わると、ドン・キホーテはサンチョ・パンサと共に新たな冒険に向けて旅立って行った。
一同はこの遍歴の騎士を、敬意をもって見送るのだった。
バレエ『ドン・キホーテ』の見どころ
あらすじを見ていただければわかるかと思いますが、ドン・キホーテはドラマ性もあって、クラシックバレエもしっかり楽しめる、ボリュームたっぷりな作品です。
これから、バレエ『ドン・キホーテ』を見るときはここに注目!というポイントを、3つご紹介します。
ドン・キホーテをみるけど、何に注目すればいいのかわからない!という方はぜひ参考にしてください♪
ご紹介するポイントは以下の3つです!
- コミカルな演技
- ダイナミックなPDD
- うっとりするようなバレエの世界
コミカルな演技
バレエ『ドン・キホーテ』の見どころ一つ目は、なんといっても演技です!
笑ったり、泣いたり、怒ったり、狂ったり…バレエ作品の中で一番感情の動きが激しいと思います。
中でも、男性陣のコミカルな演技が観どころ満載!!
特に、
- 典型的な頑固おやじのロレンツォ
- 頭がおかしいが、ジェントルマンなドン・キホーテ
- やらかしがちなサンチョ・パンサ
- 陽気で頭の中がお花畑の金持ち、ガマーシュ
は、演技で輝く名わき役です!
ぜひ注目してください♪
ダイナミックなPDD
バレエ『ドン・キホーテ』の見どころ二つ目は、ダイナミックなPDD(パドドゥ:二人の踊り)です。
第三幕の結婚式の場面の、キトリとバジルのPDDが有名ですが、個人的に第一幕のPDDもかなり見ごたえがあります。
引用:YouTube
3:17あたりから、男性の片腕だけで女性をささえる、超絶ダイナミックなリフトが観れますよ!
ほかにも、第二幕の酒場でも男性に女性が飛び込むような、スピード感のあるリフトをみることができます。
数あるバレエ作品のPDDの中でも、かなり女性も男性も動きの激しく、見る側も踊る側もワクワク、ひやひや(笑)します。
ドン・キホーテを見に行くさいは、ぜひこれらのリフトが成功するように、(心の中で)応援してください!
うっとりするようなバレエの世界
バレエ『ドン・キホーテ』の見どころ3つ目は、うっとりするようなバレエの世界です。
どこのことを言っているのか、わかる人にはすぐわかりますよね??
はい、そうです。「夢の場」です!!
夢の場は、第二幕第二場ですが、幕が開くと第一場までの人間くささが一切ない、神秘的な世界が広がります。
引用:YouTube
体感したい人はぜひ、劇場でご覧ください…!
夢の場での主要キャラクターは、森の女王、ドルシネア姫(キトリ)、キューピッドの3人です。
それぞれのヴァリエーションはコンクールでもよく踊られる、有名な踊りです。
キューピッドについては、こちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、気になる方はぜひご覧ください♪
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おわりに バレエ『ドン・キホーテ』を楽しもう!
ここまで、バレエ『ドン・キホーテ』のあらすじと見どころをご紹介してきました。
以下に内容をまとめます。
- バレエ『ドン・キホーテ』は、スペインが舞台のキトリとバジルの恋物語
- コミカルな演技、ダイナミックなPDD、美しいバレエの世界に注目!
バレエの魅力がぎゅっと詰まった、ドン・キホーテ。
皆さまもぜひ、一度ご覧になってみてください♪
最後までお読みいただき、ありがとうございます。