皆さま、バレエ『パキータ』のあらすじをご存じですか?
バレエの発表会や、ガラ公演などでもよく披露される『パキータ』。
しかし、現在上演されているのは、大体が第2幕の「結婚式」の場面のみであり、全幕を上演しているところはほとんどありません。
そこで、本記事ではバレエ『パキータ』のあらすじを、相関図付きでご紹介していきます。
そのほかにも、パキータの作品やヴァリエーションについてもお話しします。
- バレエ『パキータ』のあらすじを知りたい方
- バレエ『パキータ』の作品について知りたい方
- バレエ『パキータ』のヴァリエーションを踊ったことがある/踊る予定がある方
- バレエの作品を読んでみたい方
ぜひ、記事をお楽しみいただけますと嬉しいです!
目次
バレエ『パキータ』のあらすじは??相関図付きでご紹介!!
さて、早速バレエ『パキータ』のあらすじを見ていきましょう♪
はじめに、相関図をご覧ください。
詳しくは後ほど作品についてご紹介していきますが、先にざっくりと説明しますと、
フランス第一帝政時代のスペインが舞台で、ジプシー娘パキータとフランス軍の将校リュシアンの身分違いの恋のお話となっております。
では、あらすじに入っていきましょう!
第1幕 ジプシー娘パキータ
舞台はスペインのサラゴサ郊外。
フランス軍のデルヴェリ将軍とその息子で将校のリュシアン、スペイン人の総督ロペス、その妹のセラフィナらが集まっています。
戦争でその土地の権力者となったデルヴェリ伯爵は、息子を総督の妹と結婚させようとしていますが、当のリュシアンは愛情を感じないセラフィナとの結婚に乗り気ではありません。
そして、総督ロペスもまた、自分の国に攻め込んできたフランス人たちを憎んでいました。
とそのとき、首領イニゴが率いるジプシーのたちがやってきます。
この中に、ジプシーらしからぬ華やかな雰囲気の娘、パキータがいました。
リュシアンは、パキータに思わず惹きつけられます。
パキータもリュシアンにまんざらでもない様子。
それを見たイニゴは、以前からパキータに好意を抱いていたため、リュシアンに激しい嫉妬心を覚えます。
イニゴとリュシアンは衝突しそうになりますが、総督ロペスのとりなしで何とかその場は収まりました。
しかし、イニゴがリュシアンに敵意を抱いていることを知ったロペスは、イニゴを雇い、リュシアンを暗殺する計画を企てます。
第2幕 第1場 リュシアン暗殺の危機
ジプシーの住居の中では、パキータが昼間出会った将校リュシアンのことが忘れられず、1人思い悩んでいます。
そこへ、仮面をつけた総督ロペスと、首領イニゴが現れました。
2人の様子を見て、リュシアン暗殺が計画されていることを悟ったパキータは、ぞっとして何とかこれを阻止したいと考えます。
やがて、何も知らないリュシアンがやってきました。
食事とともに、毒の入った酒を注がれますが、パキータが何とかリュシアンに飲ませまいとします。
リュシアンはそんなパキータを見て、様子がおかしいことに気づきます。
パキータは一瞬の隙を見て、杯を入れ替え、ついにイニゴはそれを飲んで倒れてしまいました。
第2幕 第2場 パキータの正体は…?
サラゴサのフランス軍司令官邸にて。
デルヴェリ将軍と、総督ロペスらを囲んで舞踏会が開かれています。
デルヴェリ将軍が、リュシアンの姿が見えないので不安に思っていた矢先、リュシアンがパキータを連れて現れました。
リュシアンは襲撃を危うく免れ、自分を救ったのはパキータだと明かします。
その場でリュシアンはパキータに求婚しますが、パキータはジプシーと将校という身分の違いからそれを拒んでしまいます。
ふと、パキータは総督ロペスを見て、彼を仮面をつけてイニゴとともにやってきた男だと見破りました。
悪事が露わになったロペスはとうとう連行され、ようやく危機は去りました。
それでもパキータは、自分とリュシアンが結ばれるとは到底思えません。
しかし、舞踏の間に飾られているある肖像画を見ると、それが自分の旨に下げているメダイヨンの絵と同じであることに気づきます。
なんとパキータは、行方不明となっていたデルヴェリ将軍の亡き弟の娘だったのでした。
パキータは晴れてリュシアンと結ばれ、お祝いの舞踏会が始まります。
バレエ『パキータ』はどんな作品?
ここからは、バレエ『パキータ』の作品についてご紹介します。
バレエ『パキータ』の成り立ち
パキータの初演は1846年4月1日、パリの帝室音楽アカデミーで上演されました。
振付はジョゼフ・マジリエ、音楽はエドゥール・デルデヴェス。
主役パキータを踊ったのはオペラ座の大人気ダンサー、C・グリジ。
グリジの見事な踊りと、第一帝政時代のフランスを再現した舞台セットが評価され、『パキータ』はパリで評判となります。
その評判を聞いたロシアの帝室劇場の支配人A・M・ゲデオノフは、当時帝室劇場に招かれていたマリウス・プティパに『パキータ』の振付を依頼します。
そして、『パキータ』は、プティパの振付家・舞踏手としてのデビュー作となりました。
1881年に、プティパは新たにレオン・ミンクスの音楽によるパ・ド・トロワとグラン・パを加えて、大幅な改変をします。
この改変では、スペインが舞台なのにマズルカ(ポーランド風の踊り)を加えるなど、こじつけに近い部分もありましたが、現在最も踊られているのはこの時の振付になります。
引用:YouTube
プティパの死後は、全幕ではなく第2幕の結婚式の場面のみが演じられるようになりました。
しかし、2001年にパリ・オペラ座のピエール・ラコットにより1881年版の全幕上演が行われました。
この『パキータ』全幕は、ラコット版として、今もパリ・オペラ座のレパートリーとなっています。
現在の『パキータ』の構成
現在、最もよく上演される『パキータ』は以下のような構成になっています。
- ポロネーズとマズルカ
- グラン・パ:アントレ
- グラン・パ:アダージョ
- グラン・パ:アレグロ
- パ・ド・トロワ:アントレ
- パ・ド・トロワ:女性ヴァリエーション1
- パ・ド・トロワ:女性ヴァリエーション2
- パ・ド・トロワ:男性ヴァリエーション
- パ・ド・トロワ:コーダ
- 女性ソリストヴァリエーション1
- 女性ソリストヴァリエーション2
- 女性ソリストヴァリエーション3
- 女性ソリストヴァリエーション4
- パキータ・エトワールのヴァリエーション
- リュシアンのヴァリエーション
- グラン・パ:コーダ
その時によって、マズルカが省略されたり、パ・ド・トロワが省略されたり、様々です。
こちらは、短縮されたミンクス=プティパ版と呼ばれています。
『パキータ』のヴァリエーションは『海賊』でも使われる
前項でご紹介した現在の『パキータ』の構成を見てみると、ヴァリエーションは女性だけでなんと7種類あります。
それぞれのヴァリエーションはコンクールの課題曲としてもよく使われていて、そのすべてが「パキータのヴァリエーション」となっているので、ややこしく感じる人も多いのではないでしょうか?
ちなみに、『パキータ』のヴァリエーションは『海賊』で使われることもよくあります。
これは、『海賊』という作品に様々な音楽が使われているため起こっているのですが、もともとは『パキータ』の曲を『海賊』に用いられているということを覚えておきましょう。
『パキータ』のヴァリエーションについては、また別の機会に深堀できたらと思います。
バレエ『パキータ』を観る方法
最後に、バレエ『パキータ』を観る方法をご紹介します。
『パキータ』全幕を見る
前の項目でもお伝えしたとおり、バレエ『パキータ』全幕は、パリ・オペラ座バレエのラコット版でしか見ることができません。
Amazonにありましたが、もう残り少ないようでしたので、全幕を見てみたい方は早めに手に入れてくださいね…!
YouTubeで『パキータ』を見る
引用:YouTube
結婚式のみの『パキータ』はYouTubeでも見ることができます。
上記の動画は、Japan Ballet Competitionのロシアガラ公演の中で踊られた『パキータ』です。
主役を踊っているのはマリインスキー・バレエのNadezhda Batoevaと、Danila Korsuntsev。
本場ロシアで仕込まれた珠玉のテクニックと、マリインスキー(かな?)の美しい衣装もぜひご覧ください♪
さすが、体の使い方が全然違うなと感じます。
動きが大きいし、ハッキリしていますね!
おわりに バレエ『パキータ』を楽しもう!
ここまで、バレエ『パキータ』をご紹介してきました。
以下に、要点をまとめます。
- バレエ『パキータ』は、ジプシー娘パキータと将校リュシアンの身分違いの恋のお話。
- 現在は第2幕の結婚式の場面のみ短縮して上演されることが多い。
- 全幕を見るならパリ・オペラ座のラコット版で。
発表会やコンクールなどでよく踊られる『パキータ』。
本記事で少しでも、作品への理解が深まっていたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。