皆さま、今話題の映画『ミッドナイトスワン』はもう観られたでしょうか?
『ミッドナイトスワン』はトランスジェンダーと育児放棄、そしてバレエがテーマの日本映画です。
2020年9月25日に公開され、私も先日9月26日に観てきました。
本記事では、映画『ミッドナイトスワン』の感想を私なりに綴っていきたいと思います。
- 映画『ミッドナイトスワン』を観ようか迷っている方
- 映画は観たくないけど、なんとなくの雰囲気を知りたい方
- バレエ経験者からの映画の感想を見てみたい方
以上の方はぜひ、お読みいただけると嬉しいです。
映画『ミッドナイトスワン』感想【バレエ経験者の視点から】
少しだけ自己紹介しますと、私はバレエ歴18年です。
今はバレエは踊っていませんが、学生時代は青春をほぼバレエに捧げていました。
風のうわさでこの映画『ミッドナイトスワン』のバレエシーンがかなり本格的だと聞き、それはぜひ観てみたいなと思った次第です。
ちなみに、『ミッドナイトスワン』のもう一つのテーマである「トランスジェンダー」については、私にはあまり深い知識がありませんので、ご了承ください…。
という軽い気持ちで観に行ったため、観終わったあとはいろんな意味でかなり胸をえぐられました…。
これから、映画の感想を以下の3つの視点から記録していきたいと思います。
- バレエシーンのリアルさ
- 一果から伝わってきたモノ
- 母親とは
バレエシーンのリアルさ
まず、書かなきゃいけないと思ったのは、バレエシーンについてです。
『ミッドナイトスワン』の大きなテーマの一つがバレエですから、バレエシーンは本当にたくさん出てきました。
バレエを題材とした映画はこれまでにもたくさんありましたが、ぶっちゃけて言いますと私はあまり観たことがないです。
なぜかというと、ドラマや映画でたま~に出てくる(役者さんがやってる)バレエシーンはだいたい不自然で、観ているこっちが恥ずかしくなってしまうような気がしていたからです。
あとは、だいたいテーマが暗すぎてちょっと見る勇気がありませんでした。(ミッドナイトスワンも結構暗いですけどね…!)
ただ、『ミッドナイトスワン』のヒロインである桜田一果役は、バレエが踊れる子でオーディションを行ったというお話を聞き、しかもかなりクオリティが高いというお話を聞き、ひと目見てみたいなと思い観てみた次第です。
観てみた結果。
めちゃくちゃ綺麗でした。
バレエレッスンのちょっとピリついた雰囲気や、コンクールのざわざわ感もしっかり再現されていて、なにより一果役の服部樹咲さんの踊りがとても美しかったです。
レッスン中に先生もおっしゃってましたが、特にアームスの動きが綺麗ですね…。まさに白鳥の手の動き。
あと、アラベスクが綺麗でした。(趣味)
コンクールのシーンの、アレルキナーダのヴァリエーションもとても素敵でしたね…!(かなり衝撃的なシーンでしたが…)
バレエ『アレルキナーダ』の作品については、コチラの記事でご紹介しています。
こちらもCHECK
-
バレエ『アレルキナーダ』のあらすじは??踊りのポイントも解説!!
皆さま、バレエ『アレルキナーダ』のあらすじをご存知でしょうか? 最近コンクールなどでもよく踊られているアレルキナーダのヴァリエーション。とっても可愛くて私も大好きなのですが ...
続きを見る
また、バレエシーンが予想以上にリアルだったので、ちょっと自分の過去のバレエ生活がフラッシュバックしてきて、なんとも懐かしい気持ちを味わうことができました。
特に、先生役の真飛聖さんの演技が、まさにバレエのよくいる先生そのもの!
登場する度に心のなかで「わかる~!」と激しくうなずいていました。(心の中で。)
服装とか、目の開き方とか、生徒のかばい方とか、お母さんへの接し方とか…とにかく、懐かしかったです(笑)
映画で、これだけのクオリティのバレエが観れるのは、すごいと思います。
これを機に、ぜひ映画ファンの皆さまにバレエの生の美しさが届いてほしいなと思った次第です。
スポンサーリンク
一果から伝わってきたモノ
映画のヒロインである一果は、母親(沙織)に育児放棄され、かなり精神的に深い傷(傷というか…溝というか…大きすぎる穴というか…)を負っているのが伝わってきました。
映画の最初の方は特に、ほとんど喋らないし、表情も常に暗い。
そのため、一言一言のセリフの印象がとても強かったです。
特に私が印象的だったのは、「頼んでない」。
映画の中ではここまで言ってませんが、私は、助けてくれとも頼んでないし、自分のためになにかしてくれとも頼んでないし、もはや自分を生んでくれとも頼んでない…と言っているように聞こえました。
でも、やはり子どもなので、自分の力だけじゃどうにもならないことが多くて…。
構ってほしくないのに、構ってくれなきゃどうにもできない、子どもらしいジレンマが見えました。
また、最後の方の海のシーンでの「もう嫌だ、やめて」というセリフ。(ちょっとあやふやですが…)
あのシーンもほんとに含みがありすぎて、想像で補うしかないですが、とにかくやっと一果が愛情を受け取れるくらいに回復してきたのに、愛情をくれるはずの人がいなくなってしまうような感覚が、本当に嫌だったんだろうなと…。
一果が珍しく(もはやそこだけ?)感情を表に出していたので、心にぐっとくるものがありました。
そのあと、海に入っていくシーンは、もう感情をリセットしたかったんだろうな…と思います。
にしても、まさか一果まで…?!とハラハラしました(汗)
最初はとにかく暗かった一果ですが、凪沙と出会って、バレエと出会って、だんだんと明るくなっていく。
その鍵は、バレエというより、母親の存在にあったと思います。
母親とは
『ミッドナイトスワン』の中では、一果の実の母親である沙織(水川あさみさん)と少しの間だけ預かって欲しいと頼まれた凪沙(草彅剛さん)の2人の「母親」が出てきます。
沙織は(それまでどうやって育ててきたのか全く想像できませんが)とにかく、育児と育児はしていないことが容易に想像できる描写でした。
最初の方で沙織といる一果は、すべてを諦めたような顔をして、子どもながらに大人の汚い部分をたくさん見てきたんだろうなという雰囲気でした。
最初の沙織はまったく「母親」としての姿は見えなかった。(一瞬だけ、一果を呼んだシーンでは希望が見えなくもなかったが…)
一果が凪沙のもとに来たときも、最初はほとんど沙織と扱いは変わらなかったが、様々な事件を通じて一果のバレエへの情熱を感じていき、なんとかそれを支えようと食事を作ってあげたりお金を稼いであげたり、やっと「母親の愛情」らしいものを受けていく一果。
それから、だんだん一果の様子が明るくなっていきます。
まあ、実際は「母親」からの愛情だけでなく、「両親」からの愛情が足りなかったのだと思います。
私にはまだ子どもはいませんが、ちゃんと子どもに愛情を伝えなければ…という気持ちになりました。
映画の中で、「母親」というものを表しているようなシーンとして2つ印象的なものがありました。
1つ目は、コンクールの舞台での沙織と一果のハグ。
もう一つは、凪沙の家で、髪を切った凪沙と一果のハグ。
1つ目のハグは、母親ならではの勘と、とっさの行動が感じられたシーンでした。
ここのシーンが凪沙ではなく、沙織とのハグだったのが、キーなのかなと思いました。
つまり、この時点では母親としての振る舞いは沙織が一歩リードしていたのだと。
肉親としての心のつながりがもたらしたハグだったのではないでしょうか。
2つ目のハグは、(そもそも沙織は選択肢にありませんでしたが)凪沙が母親になるためのハグ。
子どもが突発的な行動をとった時の母親としての行動の、お手本を見せていただいたような気がしました。
どんなに子どもが拒絶しているように見えても、求めているのは愛情…。
そういうことなんですかね。。
おわりに 『ミッドナイトスワン』を観て得たものは…
ここまで、映画『ミッドナイトスワン』の感想をつらつらと書いていきました。
自分の考えの赴くままに書いていたので、読みづらかったらすみません。
『ミッドナイトスワン』には他にも語るべきテーマやシーンがあるのですが、私がちゃんと言葉にできるのはここまでかと思います。
とにかく、私がミッドナイトスワンを観て得たものは、
- バレエに対する懐かしい気持ち
- 愛情を感じたい子どもの心情
- 母親としてふるまいたい行動のヒント
でした。
内田監督、キャストやスタッフの皆さま、素敵な映画をありがとうございました。
最後までお読みいただきありがとうございます。