最近、コンクールなどでよく踊られている「フェアリードール」のヴァリエーション。
衣装も踊りもとっても可愛らしくて、素敵ですよね。
ちなみに、『フェアリードール』ってどんなお話か、ご存知でしょうか?
実は今から100年以上前の19世紀で有名な作品だったそうです。
今回は、このバレエ作品『フェアリードール』のあらすじとヴァリエーションのポイントについて紹介していきます!
目次
バレエ『フェアリードール』のあらすじは?踊りのポイントも解説!
フェアリードールは別名、『人形の精』です。
1888年のウィーンにて、振付家であるヨーゼフ・ハスレイターと、作曲家であるバイエルによって初めて上演され、19世紀の有名なバレエ作品の仲間入りを果たしました。
その後、1903年のロシアにて、レガート兄弟の振付によって上演されます。
ロシアでの上演ではバイエルの曲に加えて、チャイコフスキーやドリゴ、ルビンシテインの曲を挿入され、全く新しい振付が加えられました。
1989年、ワガノワ・バレエ・アカデミーの校長であったコンスタンチン・セルゲイエフによってもう一度振付され、現代までワガノワの生徒たちのレパートリーとなっています。
第1幕 おもちゃ屋さんのある1日
- 主な登場人物は、おもちゃ屋の店主、店員、見習いの少年、お客の家族、フェアリードール。
- 見習いの少年はいつも怒られてばかり。
- フェアリードールは店主のとっておきの商品。
ある町に、まるで本物のような人形を売っている、おもちゃ屋さんがありました。
働いているのは店主と店員、そして見習の少年です。
見習の少年はよく失敗やいたずらをするので、店主に怒られてばかり。
そこへ貴族の家族と、お金持ちの商人の家族がやってきました。
店主は中国、日本、ピエロ(ハレーキン)、オーストリア人、スペイン、ハンガリーなど、様々な人形を動かしてお客たちに見せていきます。
子どもたちはその人形たちの動きをマネしながら、楽しそうに遊んでいます。
2つの家族がどの人形を買うか、決めかねいてると、店主が店の奥からとっておきの人形を出してきました。
それは、とても貴重で麗しいフェアリードール(人形の精)です。
お客たちは、フェアリードールに一目ぼれ!
早速注文して帰っていくと、店主と店員も人形が売れたことに喜んで、帰ってしまいました。
見習の少年は一人、店に取り残されてしまいます。
夜も更けていき、少年は疲れて眠ってしまったのでした。。。
第2幕 真夜中におもちゃたちは…
- 真夜中のおもちゃ屋さんで開かれるおもちゃたちの舞踏会。
- おもちゃは誰の味方??
真夜中を過ぎたころ。
おもちゃたちが動き出し、見習の少年は驚いて目を覚まします。
フェアリードールの合図でおもちゃたちはついに全員目を覚まし、踊りだしました。
まずフェアリードールが踊り、それに続いて他の人形たちも踊ります。
それはまるで夢のような時間…。
最後に、フェアリードールと2人のハレーキンがとびきり素敵な踊りを披露すると、夜が開ける時間となってしまいました。
人形たちはそれぞれの場所に帰っていきます。
おもちゃ屋の店主と店員も入ってきて、マズイと思った見習いの少年はすぐに隠れますが、見つかってまた怒られそうに…
すると、再びおもちゃたちが動き出し、大人たちを驚かせたのでした。
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フェアリードールのヴァリエーションってどんな踊り??
続いて、フェアリードールのヴァリエーションについて、見ていきましょう!
冒頭でもお伝えしましたがフェアリードールのヴァリエーションは、バレエコンクールの課題曲としてもよく用いられています。
改めて、どんな場面で踊る曲なのか、踊りのポイントはどこなのか、見ていきましょう♪
物語のクライマックス!一番盛り上がる場面の踊り
フェアリードールのヴァリエーションは、第2幕の終盤、おもちゃ屋さんの人形たちの踊りの最後に披露されます。
フェアリードールと、フェアリードールに夢中な2人のピエロ(ハレーキン)の、コミカルで楽しいパ・ド・トロワの一部です。
「フェアリードール」の物語のクライマックスで、最も盛り上がるシーンと言えるでしょう。
ヴァリエーションのポイントはどこ??
フェアリードールのヴァリエーションは、個性豊かな人形たちのなかでも、ひときわ麗しい「人形の精」の踊りです。
まずは、お手本の動画を観てみましょう♪(ヴァリエーションは~1:55です。)
引用:YouTube
動画は、マリインスキー・バレエ団のファーストソリスト、Maria Khoreva(マリア・ホーレワ)さん。
弱冠18歳でファーストソリストになられた、素晴らしい才能の持ち主です…!
動画はホーレワさんが、ワガノワ・バレエ・アカデミーに在籍してたころの舞台です。
では、このホーレワさんの動画をもとに、フェアリードールのヴァリエーションのポイントを3つご紹介します!
- 1つ1つのポーズを美しく
- 高嶺の花のような余裕を見せる
- 2人のハレーキンと踊っていることを想起させる
では、順番に見ていきますね!
1. 1つ1つのポーズを美しく
フェアリードールは、「人形」です。
できる限り人間味をなくすと、人形らしくなります。
ホーレワさんの動画を見てみてもわかるように、アラベスク、クッペなど、1つ1つのポーズをキビキビと、美しく決めていますね!
足の高さをキープするのは難しいと思いますが、一瞬一瞬写真に撮られてもいいように、ポーズを見せることを意識しましょう♪
2. 高嶺の花のような余裕を見せる
フェアリードールは、おもちゃ屋の店主のとっておきであり、おもちゃたちのリーダーです。
そして、とびきり美しい。
いわゆる、おもちゃ屋さんのマドンナ。
一般人には手の届かない、憧れの存在なのです。
なので、マドンナらしい余裕を見せましょう。
手も足も首も、できるだけ遠くに、長く細く見せる。自分の現実なんて無視です!見てはいけませんよ。
デコルテ周りに空気をもたせるように意識すると、余裕があるように見せられます。
3. 2人のハレーキンと踊っていることを想起させる
動画でも分かるように、このヴァリエーションは本来2人のハレーキンがそばで見ているような状態で踊ります。
マドンナですので、ずっとちやほやされるんです。
途中、実際にハレーキンに挨拶するような振付がありますね。
そこではぜひ、本当にハレーキンに言い寄られているのを想像しましょう。
ハレーキンじゃなくても、だれか身近な人(家族とか、友達とか)にうっとうしいくらいに、遊びに誘われているのとかを想像するといいかもしれませんね!
おわりに フェアリードールを楽しく踊ろう!
ここまで、バレエ「フェアリードール」について見てきました。
読者さまのフェアリードールについての理解が、少しでも深まりましたら幸いです。
以下にもう一度、要点をまとめます!
- バレエ『フェアリードール』は、あるおもちゃ屋さんとその見習い少年、そして「フェアリードール」を始めとするおもちゃたちの秘密のお話。
- フェアリードールのヴァリエーションは物語のクライマックスで登場。ポーズを美しく、余裕を見せて、2人のハレーキンと楽しく踊りましょう。
ヴァリエーションの背景や、物語が見えてくると、練習も楽しくなりそうですね♪
たくさん研究して、ぜひ自分らしいフェアリードール像を見つけてみてください!
最後までお読みいただきありがとうございます。